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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2000年9月のニュース一覧
▼[2000.09.30]キューブの事情
▼[2000.09.28]目を離せぬ彼
▼[2000.09.27]この島国の通信環境
▼[2000.09.26]ポケットにサーバーを
▼[2000.09.24]道は続く
▼[2000.09.22]唯一絶対たれ,と神は云った
▼[2000.09.21]「世界の終わり」思考
▼[2000.09.20]想いを,デバイスに乗せて
▼[2000.09.18]13
▼[2000.09.17]3文字で作る最強罵倒メール
▼[2000.09.15]「アクア」と口に出さぬアクア論
▼[2000.09.14]想い出の次世代OS開発,そして未来
▼[2000.09.12]殺人狂社会
▼[2000.09.11]セクシャルの街角
▼[2000.09.09]ブレイクスルー,ムービーストリーム
▼[2000.09.08]彼女の歌声に時空の水はたゆたう
▼[2000.09.07]夢見るツール
▼[2000.09.06]ゲーム業界の吹き溜まり
▼[2000.09.05]彼の人とともに歩くために
▼[2000.09.04]インターフェイスのない世界
▼[2000.09.03]フィーネ萌えーヽ(´ー`)ノ
▼[2000.09.02]新世界までの2週間
▼[2000.09.01]道理より無理

■2000年10月のニュース一覧
■2000年8月のニュース一覧

 
[2000.09.30]
  キューブの事情


 ▼『G4 Cube』にひび入りの欠陥?(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000929-1.html


 ジョブズがキズのついたキューブを直接電話して取り換えたことで,騒ぎを広めてしまった感もある(MacWIRE ONLINEの記事)。パフォーマンスのつもりだったのだろうが,ちょっと安易だ。キューブには,他にも問題があるのだし。

 アップル社は,「パワーマックG4キューブ」にひびが入っているという苦情を受けている。だが同社は,このキズは欠陥ではなく,通常の製造工程での線だと主張している。それでも,外見に頼り,見た目のために設計されているキューブは,キズを無視して製品の販促を行なうのは不可能だという声もある。

 アップルにはいくつか,嫌なニュースが続いている。28日に,第4四半期決算が予想を下回るだろうと発表。それによって株価が53.5ドルから29ドルに急落した(WIRED NEWSの記事)。キューブの出足が悪かったというのは呑気な結論付けで,もう少し大局的な見方も必要だろう(キューブの出荷はとんとんのような気もするし)。コンシューマーモデルとプロモデルのスペック的な間が埋まり,すべての製品のターゲットが見えづらくなってきている,というような。そしてもうひとつのバッド・ニュースが,キューブに対する苦情の山だ。だが,記事にあるいわゆる「ウェルドライン」は発売当初から云われていたこと。いまさらという感じがするし,大したことではない(と思いたい)。だが,もうひとつの電源周りの問題は,早めに抑えたほうがよい問題だ。

 起動中に突然スリープ状態になる,復帰させてもまたすぐスリープする,または再起動してしまう,夜中に突然起動する(これは怖いな(^_^;))という不具合が多数寄せられている。もともとキューブは,電源が入らないという不具合が寄せられており,アップルではコネクタ部分がゆるんでいることが多いと認めている(Tech Info Library)。んで,突然のスリープ,再起動なども電源やディスプレイのコネクタ部分の甘さが原因のようだ(なぜコネクタのゆるみで起動や再起動になるのかはわからんが)。この件に関してはテック・エクスチェンジも素人じみたやり取りが多いので辟易だったが,「コネクタんとこいぢくれや,おらっ」とでも云えばおおかた片づいたこと。対応するべき問題をきちんと見極めるのは,サポートのいちばんの能力だと思うのだが,はてはて…。



 
[2000.09.28]
  目を離せぬ彼


 ▼AOLのトラブル・メーカーJustin Frankelが「Gnutella」に続くソフトをリリース(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2000/09/25/10.html


 古くはMSのビル・ゲイツもそうだった。ネットスケープのマーク・アンドリーセンもそうだ。コードを書かなくなっても,一度名を果したものは生きていける。だが,書き続けるやつもいる。半分腐っている大企業の中で,彼のコードだけは,気を吐き続けている。

 ウインアンプやグヌーテラの作者であるジャスティン・フランクルが,AOLインスタントメッセンジャーの広告を取り除く「アルメイジング」というソフトをリリースしている。AOL社傘下にいながら反AOL的な活動を続けるフランクルだが,この奇妙な関係が続いている理由は,彼のプログラマーとしての才能と,タイムワーナー社との合併を前に,反感を買うようなことを避けようというAOL社の思惑である。

 いやはや,強い。この強さはいったいどこから来るのかと思うほどの強さ。まったくフランクルには敬服する…m(_ _)m。現在のナップスターも含めたMP3騒ぎの第一の発火点は,彼,だったと云ってもいい。1997年の4月,彼はウインアンプ 1.0をリリースした。それは今考えれば,モザイクと同じように,重大なひとつの社会の転機となるソフトだったのかもしれない。ウインアンプがダウンロードされるほどにMP3は勢力を拡大し,よくよく考えれば,プレイリストやスキンなど,現在のMP3プレイヤーの基本は,全部そこに詰め込まれていた。その後の1年半で,ウインアンプは15,000回ダウンロードされ,その成果としてヌルソフト社が設立され,さしてAOL傘下にあっさりと入った。

 だがその後の彼の活動はどうだろう。ネットスケープ社の社員たちのように,AOLの組織の中にうずもれていくこともなく,あくまでも自分のスタンスを守り,グヌーテラやMP3ストリーミングソフトのシャウトキャスト,そして今回のアルメイジングとコードを書き続けている。彼のコードは,コード自体の評価なんかよりも,その根本的な発想自体が飛び抜けている。天才と呼ぶのは簡単だが,組織の中に置くにはあまりにも危険すぎる。AOLは,危険を飲み込んでしまうことを考えていたのだが,実際は逆になっている,のかも。とりあえず,まだまだ,彼,から目を離してはいけない。(参考:彼がグヌーテラリリース時に書いた計画書



 
[2000.09.27]
  この島国の通信環境


 ▼Handspringが「VisorPhone」を正式発表(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2000/09/26/09.html


 まっ,理想はもちろん,こん.なのなんでしょうけどね;-P。

 パームOS搭載機「バイザー」のハンドスプリング社は,バイザーを携帯電話のように使用できる「バイザーフォン」を年内に米国で発売する。通話機能のほか,電話会議,通信履歴,14.4kbpsのデータ通信,PIM機能との連動などを提供する。来年初頭にはヨーロッパでも発売する予定。

 携帯電話が続々と進化しているが,PDAの拡張も盛んだ。だが,もしかしたら双方の行き着く場所は同じ場所なのかもしれない。京セラの発表したパームOS搭載携帯電話「pdQ」(ASCII24の記事)もそうだろうし,本家パームも携帯電話モジュールをリリース(ZDNet Newsの記事),すでに将来の,誰もがポケットに入れている携帯端末の姿は見えてきている。

 だが,日本はいまのところ蚊帳の外といってもいい。日本でPADの携帯電話モジュールを発売するには,NTTドコモかauの下に降らなければいけない。いや,auには,実質,フィジカルな面でも,メンタルな面でも,強さはないので,残るはドコモしかない。そしてそんな提携に有意義さはない。バイザーフォンは,SBCワイヤレス社ベルサウス社パワーテル社ボイスストリーム社のような,幾多の競争心ある通信事業者があってこそ,着実にそのデバイスの強さを見せつけていける。日本はiモードで世界の先端をいっているなんて愚かなことを云っているようだが,日本の通信業界の姿は鎖国状態だ。パームもバイザーも利用を決めたGSMの入り込む余地がない,この島国など,あっさりと取り残されるよ。



 
[2000.09.26]
  ポケットにサーバーを


 ▼これが世界最小のWebサーバ?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0009/22/webserver_m.html


 「サーバーを友人に持ちたいと思うことがある。それは,旅路の途中でじぶんがたった一人だと言うことに気がついたときにである」。

 ネットメディア社は「世界最小のイーサネット・ウェブサーバー」になる,「サイトプレイヤー」という2.8cm x 2.3cmの基盤を発表した。サイトプレイヤーは,5KBに満たないシステムコントロールプログラムで制御されている。心臓部はインテル社のフィリップス8051,64KBの不揮発性フラッシュメモリと1KBの揮発性RAMを内蔵。イーサーネットとシリアルのコネクタを装備する。ウェブサイトのサーバーとしては能力が足りないが,補助的なサブシステムとしてウェブページを送信することはできる。価格は39ドル。

 ポケットどころの話じゃない。手の平にも包み込まれてしまうサーバーは,その存在自体,とても詩的な部分がある。すごい! こういうのスキスキ(^_^)。現時点ではサイトプレイヤー上に置いたウェブページに,世界中からのアクセスを望むのは難しいが,記事の最後にあるように,処理速度の向上と,機器のナノ化は,爆発的に進化している。サイトプレイヤーが,1日100万アクセスを処理することもいつの日か可能となるだろう。そのとき,ポケットの中のサーバーは,いったいなにを発信しているのか?

 寺山修司のようにブレヒトの言葉を引用すれば,「繋がることがない時代は不幸だが,繋がることを必要とする時代は,もっと不幸だ」といったことを考えてみる。人は24時間はしゃべり続けることはできないが,私の代行者たるウェブサーバーは,いつも,誰に対しても,冗舌にしゃべり続けている,繋がり続けている。そしてそれは,皆が望んでいること。ポケットの中のサーバーは,どれだけ寂しい存在なのだろう,でも,望まれている存在なのだろう?



 
[2000.09.24]
  道は続く


 ▼Mozillaブラウザ,紆余曲折の道のり(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0009/22/mozilla.html


 道がどこに続くかなんて,誰もわからない。ただ,道は,歩き続けることでできていく。一歩ずつ進まなければ,なにもできない。そして,歩き続けること以上に,価値のあるものはない。

 Mozilla.orgは,今週はじめに最新ロードマップを明らかにした。それによるとネットスケープ6 プレビューリリース3のベースとなるマイルストーン18を10月にリリース予定。そして,ネットスケープ6向けの機能となる枝部分と,ブラウザのコアとなる幹部分にソースコードを分離,それぞれをわけて開発する提案をしている。Mozilla.orgは来年第2四半期にモジラ1.0のリリースを予定している。

 次世代ブラウザのオープンソースプロジェクトであるモジラの道は,98年の3月31日から始まった。すでに,3つ目の夏を過ぎ,3つ目の秋の時にある。リアルの2年半なんて,ワイヤードでは何10年にも相当するんだから,その歩みは明らかに遅い。だが,モジラの第一の製品であるネットスケープ6は今年,モジラのマイルストーン14(M14)をベースに4月5日にプレビューリリース1(PR1)を,M17をベースに8月8日にPR2を出している。現行モジラでは,暫定版であるNightlyBuildにM18を据えて,調整を行なっている。マイルストーン表記はM18で終わり,その次はモジラ0.9として続く。たぶんだが,ネットスケープ6はM18をベースとしてリリースされるだろう。AOLは今年中の正式リリースを強くせっつかれている。モジラ自体のバージョン1.0は来年半ばになるんだから,そこにモジラ・プロジェクトとネットスケープ of AOLとの関係性のずれを見てもいい。

 茨の道となったモジラの道筋をいいまとめるのに,言葉は見つからない。実際終わりのないオープンソースプロジェクトに不満を述べるのは簡単だが,このようなプロジェクトにとって大事なのは,続けることなんだなぁとつくづく感じさせられる。一時的な興隆は大した意味がない。一歩しか進まなければ道はできない。歩き続けることで道となる。道の途中にあった些細な軋轢を嘆くよりも,今は開発者たちの,続けてきた力を称賛したい。ネットスケープ6のベースの大詰めの時に。



 
[2000.09.22]
  唯一絶対たれ,と神は云った


 ▼Appleにとって重大なOS X(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0009/21/n_anaosx.html


 キューブの発表でも反発しなかった株価の上昇は,OS Xへの見えない期待によるものだ。CPUやグラフィックボードなど,他社製品と比較することが容易なハードウェアに比べて,OS Xの気高さだけが身にしみる。比較されることを問題としない,そこにある力の意味を考えたい。

 アップル社の株価を扱うアナリストたちは,マックOS Xがウインドウズの主要アップグレードと同じくらい大きな影響を与えるとした。これにより18日の株価は上昇した。投資家向けのレポートでは,「投資家はOS X発売がもたらしうるポジティブな影響に集中すべきだ」としている。

 とはいっているが,現在のアップルの最も評価すべき点は,その製品を,他社のものと比較したり,競争したりしていない点,かもしれない(CPUの処理スピードの比較はよくするが,アップルはCPUメーカーではない)(過去記事)。まぁ株価は総じて他との比較から生まれるものだから仕方ないのだが,その証しかジョブズが株価について現状把握以上の意見を云ったことはない。最高のOSを作ること,最高のハードウェアをつくること,それだけが絶対だ,他社の製品などには興味がない,勝っているとか,劣っているとか,なんてことはどうでもいいことなのだ。

 DOS上のウインドウズ95と,フリーBSD上のマックOS Xは似ているという話を聞いたことがある。だがそれを云うなら,OS9とOS Xとを比較すべきだ。フリーBSDとマックOS Xとの関係は,リナックスとXに似ているが,それも観点がずれている(詳細はまた今度)。全体的に,他と比較して重大なのではない。ただ,その存在が,重大なのだ。比較することに意味はない。競争することに意味はない。自ら,唯一絶対になること。その意志が,重大なのだ。



 
[2000.09.21]
  「世界の終わり」思考


 ▼CERTが警告する「インターネット崩壊の脅威」は現実か(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000919203.html


 世界の終わりという言葉は,終わらない世界にしかない。終わりを考えるということは,夢見ることとおんなじ。夢を見ることで生きていける。世界の終わりを想像することで,生きて,いける。

 コンピューター緊急対策チーム(CERT)が大規模なサービス拒否攻撃という攻撃が差し迫っていると警告している。だが,そんな破壊は簡単ではないという意見や,チャットサーバーの確保という別の目的でしかないという意見もある。そして,相変わらず開きっぱなしになっているセキュリティーホールを不思議に思うばかりだ。

 たとえば,憧れのないものであれば,夢見るに値しない。叶えがたく,適しがたい,夢なんていつも,そんなもんだ。世界の終わりを考えるのは,夢見ることとおんなじだ。核兵器が飛んでくる? 太陽が膨張をはじめる? 見たこともない異星人の飛行機が来襲する? でも,もし本当の世界の終わりが来たら,そんなことを考えている暇はない。世界が終わっているということは,あなたはもう死んでいるのだ。夢見ることも似ている。夢いだいていたことが実現したら,それはもう「そんなもの」の価値しかない。

 夢を見るから人は生きられるのと同じように,終わりを想像してこそネットワークは存在し続けられる。難攻不落であることが最大の売りであるIPネットワークも,わずかなほころびから崩れだしたり,不意をついたいたずらでTHE END,となる可能性もなくはない。そんなことを考えて続けていると,想像する終わりの中に今の自分を見いだせる。今,何をすべきかを考えられる。現実的でない「終わりのカタチ」に,耳傾けるのは無駄なことじゃない。(過去記事



 
[2000.09.20]
  想いを,デバイスに乗せて


 ▼「好きな人に携帯・PHSのメールで告白?」(O-net ことぶき科学情報)
  http://www.onet.co.jp/kotobuki/vol29.html


 生身の肉体だけでしか生きられないなんて,不便なことだ。IPのプロトコルデバイスがあれば,なんにだってなれる,どこへだっていける,なんでもできる。

 20代の独身男女を対象とした調査による,好きな人に恋愛感情を告白する方法は,「直接会って話す」が83.5%,「携帯電話/PHSのメール」が7.5%,「パソコンの電子メール」が4.5%だった。

 当サイトのテキストでは,コンピューター,ネットワーク系のニュースサイトだってぇのに愛だの恋だのと酸っぱいことを恥ずかしげもなく書きなぐってばかりいるが(なんて言い草だ(^_^;),それはある意味,意図的にやっている。未来の話としてはコンピューターの感情論ももちろんありだが,まだ目の前に感情を持つコンピューターなど存在しない。ロボットは感情を持ってこそ…という考えもあるが,現在のロボットの疑似感情は,あまりにもお粗末で,単純な喜怒哀楽にとどまっている。いや,人間の感情自体,定かではないので,それを人工的に作るなんてのがそもそも無理なわけで…。でも,感情を持ったコンピューターやロボットは,当然生まれるべくして生まれる。それは人形への倒錯愛,ピグマリオンと同じなのかもしれないが,無機人工物との感情のやり取り,意志の疎通,情欲の交換は,現在のPCにもその片鱗はある(よね?)。そしてその欲望は,近い将来,カタチになるだろう。

 「大事なことは直接会って…」という意志には,その大事な想いを伝えるのに十分なデバイスが存在しない,ということを意味している。電話で伝えようが,メールで伝えようが,中身は変わらない。でも,電話じゃなにか足りない,メールじゃなにか足りない,という不安がまだ現代人の心にはある。でもでも,メールによって想いを伝えるという人が1割以上いるというのは,デバイスの力が徐々に増している証拠か。今後,メールはより個人に密接したツールとなり,またはより進化を遂げて,どんどん自分をラスタライズして想いを乗せるに足るデバイスへと進化していくかもしれない。感情を持ったデバイスの誕生の通過点として,感情を明確に手渡せる,信頼に足るデバイスはあるだろう。肉声を届けるボイスメールはどうだろう,顔の表情付きで送るフェイスメールはどうだろう,視線を具現化したアイズメールはどうだろう。「あたしの想いを,このデバイスに乗せて」。



 
[2000.09.18]
  13


 ▼米社会全体を巻き込むNapster論争(ZDnet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0009/14/napster.html


 ナップスターを見ていると,幻想の中で「13」という数字が浮かび上がってくる。「境界線を創造性をもって超えてゆく,ブレイク・スルー」,「13は,揺らいで,建て直すという生命生成原理」,「13はアルファであり,オメガ。終わりを統括することで,次なる始まりへと導く」。(参考:『13の暗号』高橋徹

 ナップスター問題は社会全体を巻き込んでいる。ナップスター擁護派には,図書館司書と歴史家を代表する団体,全米市民自由連合,医者,プロバイダー,家電メーカーの団体。ナップスター反対派は,写真家,NBA(プロバスケット),MLB(プロ野球),ホワイトハウス,米国著作権管理局など。

 ナップスターに関するニュースは続く。9月7日に行われたMTVビデオ・ミュージック・アワードでは,ナップスターのショーン・ファニングがプレゼンターとして登場。なんとメタリカのTシャツを着て,会場でふて寝気味のメタリカとご対面となった。相変わらずやることは気が利いてていいな。また,スマッシング・パンプキンズが引退前のラストアルバムを所属のヴァージン・レコードを通さずにLPでリリース。ファンサイトなどがそれをMP3にしてワイヤードに解き放した(CNET Japanの記事)。ヴァージンは顔を潰されたカタチになってあたふたしている。MP3の使い方としては目を見張るものがある。

 日々刻々と弾劾の軋轢にさらされているナップスター。ナップスターの13日の金曜日へのカウントダウンは始まっている。13日の金曜日の由来は,テンプル騎士団へのローマ教会からの弾圧に由来するという話もある。ユリウス暦1307年10月13日にテンプル騎士団は団員全員が投獄,全財産の没収,強制的な解体に憂き目に遭った。同様の弾圧が続いているナップスターだが,ナップスターが死なない,ということは皆が知っている(ZDNet Newsの記事)。またはゾンビのように生き続ける。さらに,平気で生き残っているやつよりも殺しても死なないやつの方がたちが悪い。もう13日の金曜日を怖れるものはいない。



 
[2000.09.17]
  3文字で作る最強罵倒メール


 ▼『Eudora』新バージョンに、ユーザーの失言を抑える機能が登場(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000916-3.html


 270万の罵倒語で埋め尽くしメールは,どれほどいらつかせたり,悲しませたりさせるものだろう。でもそんなのより,好きな人からの「キライ」と3文字の方が,よっぽど重い。トウガラシ,5万個ぐらい?

 クアルコム社はメールソフト「ユードラ」の新バージョンに,そのメールの中の怒りや罵倒,攻撃などを表す言葉の含まれている度合いを判断し,トウガラシを0個から3個表示する「ムードウォッチ」機能を搭載した。

 話としてはとっても,面白い。このムードウォッチ辞書を読むことができれば,この世ではっきりしている罵倒言葉(英語だけど)を全部手に入れられるということで,いろんなところで役に立つか?(どこで役立つんだよ) 実は軽くいなしたいとか,そういう時に使う言葉は辞書で探せないからな。

 メールのテキストは誤解を受けやすいものだ。簡潔に書いたつもりがぶっきらぼうに受け取られたり,詳細に書いたつもりが冗長に受け取られたり。手紙よりも手軽に出せるけど,文字だけで表現するのは手紙同様,たやすいことじゃない。…どないしたらいいねんという感じになる。はじめてやり取りする相手の場合は特に,そこらへんのカドを気にせずに受け取る必要がある。まぁ世の中「愛してる」でも「お世話になっております」でも罵倒言葉になることはあるので,ムードウォッチなにをかいわんや,ですけどね。



 
[2000.09.15]
  「アクア」と口に出さぬアクア論


 ▼アップルが『Mac OS X』のベータ版を発表(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000914-1.html


 時空の水,漕ぐオール,キャッチ・ロー・キャッチ,飛沫と汗,夏の消えゆく日差し,優しさの風…。躍動感,透明感,清冽な感触,冴えた面影。…イージーオール。

 アップル社は13日,待望のマックOS Xの公開ベータ版を発表したが,最低でも128MBのメモリを必要とする。アップルにとってこの発表は大きな分岐点となる。大きな変更となったなめらかなGUIのアクアは,一部のアップル・ファンは慣れるのに時間が必要となるかもしれない。

 私たちはいつまで美しい水を持ち続けられるのだろうか。工場廃水,家庭排水,酸性雨。水が物理的に持つ美しさを保っていられるのは,いつまでか。薄く,青く描かれる海が,濃さを増していき,どす黒い油状のものが流れ出す。唯一残された美しき水は,人工的に作られた水道水と,スーパーの棚にある飲料水と,モニタの中のGUIと。

 子供のころ,嫌なことがあると,海に潜りに行った。ちょっと潜り,鼻をつまんで海面の方にむくと,水面の先にきらきらと太陽の光があった。揺らぐ海水と,揺らぐ太陽。無に漂う身体が,なにもかも忘れさせてくれた。今,目の前に広がる,モニタの中の海,浮かぶ半透明のウインドウ,クローズ・ズーム・モード選択の水泡が右肩と左肩に散る,地にゆらゆらと揺らぐドック,きらめく知性。「僕は,僕の海を見つけた」。



 
[2000.09.14]
  想い出の次世代OS開発,そして未来


 ▼Apple Expo - Jobs氏が「Macの未来」OS Xベータ版を発表(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0009/13/n_jobsmacosx.html


 明確な未来のため,過去はうち捨てられなければいけない。そして過去は,想い出に変わる。未来があれば,想い出は輝き続ける。

 アップル社CEOのスティーブ・ジョブズは,パリのアップルエキスポで,マックOS Xのパブリックベータを「マックの未来」と発表,オンラインストアで29.95ドルで販売開始した。このベータ版には,新しいメールソフト,クイックタイムプレイヤー,シャーロック検索ツール,そしてカーボン化されたインターネットエクスプローラーなどが付属している。

 前回(過去記事)の補足。90年代始め,アップルはコープランドというプロジェクトを立ち上げ,ユニックスをもしのぐような,ハイエンドなOSを構築しようとした。MSのウインドウズでも同様の視点から,NTがスタートした。NTは(とりあえず)発売され続けてきたが,コープランドは日の目を見ることはなかった。ひっ迫した予算は,手短な現行マックOSの改築の方に回されていった。コープランドのわずかに伝えられた思考は夢を持たせるものだったが,ちょっとだけ夢を見過ぎた,とでも云っておこうか。そして,破棄された。

 ラプソディの開発がはじまったのは96年終わりごろ。崩壊的な経営難の中で,ラプソディはコンシューマー向けOSとしての道を閉ざされながらも,97年のネクスト社買収によりネクストステップ(オープンステップ)を基盤とし,全体的な骨格を整え,マックOS Xサーバーとして形となった。そして今回のコンシューマー向けマックOS Xの一部にも受け継がれている。紆余曲折を経た5年間,名を変え,品を変え,最終的にはJAVA環境も統合した甘い甘いCocoaとして,やっと次世代OSの形で表舞台に出る時を迎えた。歴史と一言ですますにはあまりにも激しいダッチロールを繰り返してきて,今,着陸。辛かった過去も,これですべて「想い出」に変わる。



 
[2000.09.12]
  殺人狂社会


 ▼バイオレンス・ゲームは、身分証明書を持って買いに行こう(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20000911105.html


 殺しまくって,なにが楽しいかなんて,誰も知ったこっちゃない。楽しいって云うより,人間なんだから,仕方ないんだ。

 Kマート社ウォルマート社は,暴力性の強いゲームなどを17歳未満の客には販売しないという発表を行なった。若い購入者は身分証明書の提示が必要となる。今年5月には,上院議員たちがそのようなゲームを販売しないよう勧告する書簡を送っていた。議員たちは,暴力的なゲームが若者の暴力的衝動に繋がっていると信じている。

 ネットワークRPGなどでは,PKという存在がいる。プレイヤー・キラー,無差別に相手を殺すことを主義として行動している存在。ぱっと見,敵ではないので油断していると襲いかかってくる,まともな冒険者にはなんとも厄介な存在だ。だが,PKにはどこか決定的に否定できないなにか,がある。PKになる意識には,わずかな尊ささえ,感じずにはいられない。

 殺人は法の下では犯罪だが,社会を形成するうえでは欠くことのない良性の膿のようなものだ。殺人があるから社会も成り立つ,というのは逆説ではなく真実だろう。殺人のないゲーム,殺人のない舞台,殺人のない映画,殺人のない小説…,そんなのは存在しない。だから,殺人のない社会も存在しない。人生で,1人も人を殺したことがない(行動ではなく,意識として)という人は,いない。鬱屈した学校,沈鬱する職場,憂愁の家庭。私たちは「殺人者」になりたがっている。しかも,「1人殺せば犯罪者だが,100人殺せば英雄だ」。やるなら派手にやったほうがいい。暴力ゲームを買いに行こうよ,売らないなんて云う店員なんて,ぶっ飛ばせ。



 
[2000.09.11]
  セクシャルの街角


 ▼ハイテク・セックスの将来(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000907205.html


 「モデムが今日もけたたましい音を立てて,アクセスポイントと認証を繰り返す「220 User XXX」。僕はそのモデム音に情動し,性欲をかき立てられる「230 Password required for XXX」。ピ〜〜〜ッ「PASS」,ガガ〜〜〜,消尽「230 User XXX logged in」。情念と猥雑の狭間「200 PORT command successful.」。

 21回目の『アルス・エレクトロニカ・フェスティバル』で,2日間にわたる「次世代のセックス」シンポジウムが開かれた。サイバーセックスに依存している人たちに,社会学は役に立たない。そして,サイバーセックスはすでに現実の代用とするにはあまりにも広がりすぎており,それはすでにひとつの現実なのだ。また,普通でない性的嗜好を持った人たちには,快適な場所を与えている。

 記事中に,「インターネット上のトラフィックの80%は,セックス関係の話題が占めている」とある。それが本当かどうかは知らないか,あながち間違いでもないだろう。数年前には,ネットで取引されているお金の9割はアダルトサイトによるものだと云われた。その割合は減っているだろうが,全体のパイは格段に増えているだろうし…。また,セクシャルのマイノリティーの場としての優位性も,以前として大きいものだろう(過去記事)。

 「人間の行動はすべて,その欲望に基づいている」。いや,もうそれは「すべて」。たとえばアーティスティックなものであろうと,はたまた経済であろうと,政治であろうと,稼働車輪のひとつはいつもセクシャルなものだ。ネットワークとて同じこと。人間の行動原理はどこも変わらない。そして,今後も変わらない。モデムのUPSTREAMアクセスランプの灯火が,今日も性欲をかき立てる。



 
[2000.09.09]
  ブレイクスルー,ムービーストリーム


 ▼米Lycos、ユーザーの録画したビデオをストリーミングで配信するサービス(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0907/lycosv.htm


 処理負荷とPC性能は常にレースを続けている。みんなの目がインターネット利用に向いている今は,性能がちょっとだけ上回っているかもしれない。だが,新たな流れがその地位を逆にする。メディア・トータルジャスティファイ,リアルタイム・サイトレンダリング,フルモーション・セルフラスタライズ…,将来的にばく大な処理能力を必要とする技術はいくつもある。だか,とりあえず目の前に来ている流れが,ムービーストリームだ。

 米国ライコス社は,ユーザーがストリーミング動画を無料で配信できる「ライコス・ビデオセンター」を開設した。会員は,ストリーミング動画を専用ソフトを使って作成・編集し,10MBのスペースに保存,それを共有できる。これらはすべて無料で提供される。

 アップル社のスティーブ・ジョブズは,次のパソコンのキーとなるのはデスクトップムービーだと確信している(ジョブズはあえて「ビデオ」ではなく「ムービー」だとしている)(過去記事)。コンシューマーも含めて,パソコンの使用目的として,ムービー作成,ムービー鑑賞が最大のトピックとなる,という。ソニー社は8日,新しいバイオノートシリーズに,本格的なデジタルビデオカメラが搭載されているGTシリーズを発表(カメラ付きパソコンというより,パソコン付きビデオカメラって感じ,値段が気になるなぁ)(ZDNet Newsの記事)。画像だったり,音楽であったり,あれこれとパソコンの使い道はあって,次は当然,動画となるのは必然の道?

 だが,動画をやると,格段に進んだはずの今のパソコンの性能が物足りなく感じる。G4も,1GHzも,まだまだ足りない。動画の形式変換,圧縮,編集加工にかかる時間は現状でも途方もない。私もそのために数日間,パソコンがつけっぱなしになっていて,そのうち火を吹くんぢゃないかと心配で心配で…(^_^;夏場は特にこわ〜い)。パソコンの性能アップをさらに加速させる次の発火装置が作動するのは,みんなが,動画の楽しさに気付いたとき,かな。



 
[2000.09.08]
  彼女の歌声に時空の水はたゆたう


 ▼NTT、人間そっくりに歌う音声合成技術『HORN法』を開発(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/Infostand/Item/2000-0907-J-3.html


 アンドロイドの彼女の歌声に,みえる景色。時空の水が,濁流として源泉へと流れ込む。それはやっぱり,異質な世界。彼女の頬は手元にあるけど,声はまだ,遠く無窮のさなか。

 NTT社は,楽譜と歌詞を与えることで,パソコンに自然な声で歌わせることが可能になる「HORN法」を開発したと発表した。HORN法は,あらかじめサンプリングした声を元に,純音を重ね合わせて歌声を作り,ノイズを加えることで人間の歌声に近づけている。

 人工物の声というのは,いまだにはっきりと,肉声と区別することができる(たとえばキャッシュディスペンサーの声とか)。また肉声をサンプリングし,加工した声も(たとえば電話の時刻案内なども)違和感を感じる。それらは,音質であったり,抑揚であったり,とにかくなにかが人間の肉声とは違う。そう考えると人間の声とは不思議なものだ,と思う。人工音声と肉声の違いをもっとも感じるのは,歪み,があるかないか,だ。肉声は,どんなに澄んだ声とか,まっすぐな声と云っても,多くの歪みがある。

 で,意図的に歪みを作ることを現在のコンピューターはまだ苦手だったりする。HORN法がどんな声を作りだすのか聞いたことがないのでわからないが,鍵はノイズの加え方,だろうけど…。アンドロイドが歌う歌に,心動かされるときも来るかもしれない。だが,人間は感情の抑揚によって声に歪みを生む。逆もまた真,歪みのある存在だからこそ,感情がある。雑音を加えることでは,感情は生まれない。まだ当分,アンドロイドは人間の声を手に入れることはできない。



 
[2000.09.07]
  夢見るツール


 ▼来年のMACWORLD Expo/SFでHyperCardが復活(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0009/06/n_hyper.html


 いろんな場所,いろんな人たち,フロッピーディスクに納められたハイパーカードの作品,1枚500円,ディスクラベルも1枚1枚お手製,作る楽しさ,完成させたときの喜び,夢見る,ツール。

 ハイパーカード・メーリングリストが,来年のマックワールドエキスポ2001/サンフランシスコに出展する。ハイパーカードは,アップル社から87年にリリースされたソフトウェア。98年に開発が中止してしまったが,いまだファンは多い。

 ハイパーカードを説明するのは難しい。文字や絵や音声や動画やボタンなどを配置して,データベースも作れるし,紙芝居のようなものも作れるし,電子ブックも作れるし,ゲームも作れるし。さらには,ハイパートークというスクリプトを利用し,アプリケーションっぽいものも作れる。いわば開発環境ともなり,しかもそれは他の開発環境より格段に敷居が低い。もし,現在も存在していれば,iMacユーザーに大きな楽しみを与えていただろう,と想像できる。

 私も,絵本とか詩集なんかを作って遊んでいた。初めてウェブサイトを作ったときも,どこか,ハイパーカードを作る感覚で作っていたのをおぼえている。そう,いつしか,ハイパーカードを作り込むことはウェブを作ることに変わった。だが,あの,自分が作りたいものならなんでも作れる,という自由度の高さは,目一杯の夢を見せてくれた。ソフト自体が蘇ることはたぶんないだろうが,慣れないキーボードとマウスで徹夜で作り込んでいたあの日を,忘れることはない。そんな,夢見るツールだった。



 
[2000.09.06]
  ゲーム業界の吹き溜まり


 ▼東京ゲームショウ2000秋での各ブースの出展内容などが発表されたぞ!(ファミ通.com)
  http://www.famitsu.com/game/daily/2000/m09/d04/inf01.html


 本来,業界の発展をサポートすべき団体の体たらくは,目をおおうほどだ。この団体の存在が日本のゲーム業界の健全な発展を妨げている。だから,現在のゲームショウも,一度なくなって,いい。

 開催まで3週間を切った東京ゲームショウ2000秋(9月23日〜24日,千葉県の幕張メッセ)の出展タイトルや,イベントスケジュールが,発表された。トークショー,ゲーム大会,プレミアムグッズの配布など多彩な催しの開催予定が掲載されている。

 今回のゲームショウは水を差されっぱなしという感じ。なにより主役であるはずのゲーム会社の出展取り止めが相次いだ。出展者数だけみると春と比べると3社減とほどほどだが,実は海外のゲームメーカーの参加があったために,国内メーカーの不参加が目立たなくなっているだけ。スクウェアSNKNECインターチャネルアスキーセガ,そしていつも通り任天堂の名前もない。出展タイトルも,385(99年秋)→203(00年春)→148(00年秋)と,歯止めのきかぬ減少の一途をたどっている。

 各社,発売するタイトルがちょうどないからとか,経費節減のためとか,他のイベントに注力するためとかいろいろ云っているが,内実はわかりやすい。すなわち,コナミ主導のCESA(コンピュータエンターテインメント協会)への反発だ(CESA会長はコナミ社長)。縄張り争いや特許訴訟,ライセンス取得による独占化,またゲームショウでの一部企業への優先事項など,各社の嫌気はたまりにたまっている。それが形となっただけ。ゲーム業界にとってCESAは,すでに吹き溜まり状態,掃き溜め状態。百害あって一利なし。ゲームショウもそれに巻き込まれている。そんなゲームショウなど,ゲームの明日のためにも,なくなっていい。



 
[2000.09.05]
  彼の人とともに歩くために


 ▼12の言語を即時翻訳 ユニークな無料インスタント・メッセージング・サービス(シリコンバレーエクスプレス)
  http://www2.nihon.net/cgi-bin/sve/osform/SVERead?osform_template=Brows_body.oft&pDate=000904&Id=03


 きっとへろへろな翻訳なんだろうなぁと予想はつくが,それは,それは,とても大切なこと。思想にかなうこと。

 ゴートゥーワールド・コムは,12の言語の即時翻訳機能を備えた無料インスタント・メッセージング・サービスを開始した。外国語のメッセージは,ユーザーの母国語に自動翻訳される。またその12カ国語のメッセージを音声変換することも可能だ。

 ネットスケープ6のページ翻訳は,翻訳専用ソフトのような使いやすさが感じられるものだ。しかしそれ以前に,ブラウザに翻訳機能を標準で付けるのは,単なるサービスではない。ワイヤードは,個々の持つ壁を排除することで,成立する(過去記事)。ひとつのOSでしか動かないようなものは迷惑なだけだ。どんなOSであろうと,どんなソフトウェアであろうと,そして,どんな人種であろうと,どんな言語圏であろうと,スムーズなコミュニケーションが行える,それが大事な思想。翻訳機能はその思想に根差したメニューだ。

 そういえば,セガから分社したソニックチームファンタシースターオンラインは,初めてのリアルタイム翻訳を取り入れ,世界同時発売となるRPGだ。ワードセレクトシステムで,ある程度までの意志の疎通は可能になるという。一緒に冒険を楽しみたいときに,辞書を片手に苦しまなくてすむのは嬉しいことだし,それ自体も楽しみである。リアルタイム翻訳によって,海外の,異文化を持つ人たちとともに歩ける。翻訳の質は,後から追いついてきてもいいぢゃないか。



 
[2000.09.04]
  インターフェイスのない世界


 ▼Warnock氏、Saffo氏ら、「Seybold SF 2000」で将来のビジョンを語る(Mac Fan net)
  http://macfannet.mycom.co.jp/news/0008/31/0831seybold_future.html


 絵を描く人なら,自分の頭の中にある完成図と,現実のキャンバスとの差違。テキストを生む人なら,感情に近い言語と,現実のタイプされた文字との差違。その差違はインターフェイスの未熟さによる。なら,そんなインターフェイスのない世界は?

 シーボルド会議で「出版:20年の展望」と題する基調講演が行われた。IFTF社技術研究員ポール・サッフォの発言から。「次のインターフェイスの革新はどんなものか? 最大の変化は,「インターフェイス」という言葉がなくなることだ」。「私たちがOSになってしまえば,それは素晴らしいことでは?」と観客にたずね,この質問は爆笑を呼んだ。

 PCが持っているインターフェイスをあげてみよう。ユーザーからの入力装置としてのキーボードやマウス。出力装置としてのモニタ,スピーカー。モニタの中のテキストや,ボタンやメニューなどのGUIもソフトウェア・インターフェイスだ。その他,パラレルやシリアル,ネットワークなど,他の装置と接続するポートもある。人間の持っているインターフェイスをあげてみよう。他の人と接する場合,言葉(口)もそうだし,表情もそうだ。身振り手振りで体全体がインターフェイスになることもあるし,セクシャルな部品も,そのひとつと云える。インターフェイスを経ることで,そのデバイスの限界が見えてくる。たとえば,ある感情を相手に伝えたいと思ったとき,「言葉」というインターフェイスでは,そのすべてを伝えられない。この感情をそのまま伝えられたら,と思っても,感情を乗せられるインターフェイスはない。何かに置換する必要がある。

 僕の感情と君の感情を直結して会話することができるなら,世界はわかりやすくて,スムーズになる。だが人間は,感情を隠すことで社会を成り立てている側面がある。ということで,これは崩壊する。だが,PCはどうか。頭の中で考えた思考は,脳から指先に伝達され,キーボードを経て,モニタのGUIに現れる。それは,何百マイルも遠い道のりだ。思考は,通過するデバイスの限界で,あられもなく削り取られていく。なら,思考をその場で,処理し,構築し,表出したらどうだろう…。究極のPC,インターフェイスのないPC,その時,人間の想像力は,作意力は,感情は,どの方向へと向かうのか。(ニュースネタ元:model f plusさんm(_ _)m)



 
[2000.09.02]
  新世界までの2週間


 ▼Mac OS Xの出荷日は2000年9月13日,その日に登場するものは何か?(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0008/31/n_md1.html


 コープランドの挫折,ラプソディの頓挫…,アップルがやっと見つけた新世界。それが,X。

 マックOS Xのパブリックベータが9月13日にリリースされると発表された。だが,配布方法も価格も明らかになってなく,この発表のニュースリリースもない。多少の混乱の中で,スティーブ・ジョブズがお達しを発したというところか。配布方法は,ウェブでの申し込みの後,発送となると思われる。なんにしても,あと2週間だ。

 ウインドウズではたまに耳にするOSのベータテストも,マックOSでは,今までいっさいなかったことなので,果たしてどのような配付方法がとられるのか,想像がつかない。無料配布なのか,有料配布なのか,ROMによる配付なのか,ダウンロード配布なのか…。プロマウスを基調講演聴講者全員に無料配布したことを考えれば,パリでのエキスポでの配付も考えられなくもないが,どうもどたばたした動きも感じられるので,限定した配付となることが予想されている。この時期になっても,まだGUIの変更なども,がしがし見受けられるし(MacWIRE ONLINEの記事

 今までのマックOSとはまったく違うのが,OS Xだ。いわば,新しい世界へと足を踏み入れること。まったく違う世界での生活を始めること。今までと異質な世界に生まれ落ちること。外観が,法律が,秩序が違う…,大気も,地面も,空も違う…,そして私たちの行動も,思考も,すべて変わる。今までの歴史は創世記の歴史でしかない。それが,Xだ。なんども失敗を繰り返したアップルの新世界の創出が,2週間後に日の目を見ると思うと感慨以外にない。両手を広げ,新世界を迎え入れよう,その準備は,整っている。



 
[2000.09.01]
  道理より無理


 ▼『Word』文書の行方を監視する「ウェブ・バグ」(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000831-5.html


 問題は,気付かれぬうちに情報を取得されているということ。この気の回らなさがやっぱり,…ぽいなぁ。

 デンバー大学のプライバシー財団が30日,マイクロソフト社のワードのファイルに,ファイルを使用した情報を作成者に送信するバグがあることを発表した。これにクッキーを利用することで悪意ある追跡を行なうことも可能だが,これは悪用されやすい正当な機能としても考えられなくもない。

 こんなのをバグといわれちゃうのも,なんだかなと最初は思ったが…。ファイルを見た場合に,ウェブページを見た時と同じ情報は採れるけど,それがワードファイルだからなんかできるというわけでもなし。たとえば,ファイルをダウンロードするときに個人情報を入力させて,その個人情報とIPアドレスを結びつけて,という作業をするのならともかくだが…。とは云っても,普通はワードのファイルを見ていて,IPが抜かれているとは誰も思わないから,やっぱりMSのプライバシー感に甘さがある,とも考えられるか…。

 わかっている人には大したことがないことでも,そうでない人も巻き込んでしまうのがMSの力。いったいどれだけの顧客を自分たちが抱えているのかというのを理解せず,同じことを繰り返す。ワープロソフトがネットワーク上の画像を参照する必要があるのかいうと,ある_かも_しれないという答えが正しいかもしれないが,「悪用されやすい正当な機能」なんてものなら最初から要らない。でも,そうではないらしい,MSの価値観では。それがMSのMSたるところ。ある意味では,偉大なんだけどなぁ。無理が通れば,道理引っ込む,ってとこか。




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